歯の寿命をのばす会

2歳半以上の子の虫歯予防について


2歳半以上の子の虫歯予防について

このページでは、2歳半以上の子の虫歯予防をお伝えいたします。
※2歳半以下の虫歯予防は、前のページに記載しています。

虫歯の予防方法をお伝えする前に、
どうして虫歯になるのかを知って欲しいと思います。
虫歯になる仕組みが分からなくて対策はできないからです。

ではどうして虫歯になるのかの理由をお伝えします。
それはお口にいる虫歯菌のうんちが歯を虫歯にさせるのです。

「虫歯菌のうんち!?」
と驚かれるかも知れませんが、分かりやすく言えばそんな感じなのです。
でも、それでは意味が分からないと思いますので詳しく説明します。

お口の中には虫歯菌が棲んでいます。
虫歯菌も私達人間と同じように生きています。生きているので何かの栄養素が必要です。

では何が栄養素になるかというと、あなたが食べた食品の中の砂糖なのです。
この砂糖を虫歯菌が体内に取り込みます。
取り込まれた砂糖は、虫歯菌のエネルギーとなります。

ただここでまた人間と同じ行動をするのです。
それは要らない物を体外に排出するってことです。

何を排出するかというと、「酸」です。

つまり先ほど、虫歯菌のうんちと言ったのは酸のことです。
この酸が歯にくっつくことで、歯を溶かし虫歯になるのです。

これが基本的な考えなのですが、
せっかくなのでもっと虫歯の原因を分解してみましょう!

虫歯になる要素を分解すると

これらが組み合わさって虫歯が成り立つのです。

例えば、もしお口に虫歯菌が全くいなければ、
いくら甘いものを食べても歯みがきしなくても虫歯にはなりません。
(でも歯周病にはなるのでやらないで下さいね。)

要は、上記の要素にアプローチする事が虫歯予防の考え方です。
虫歯の成り立ちが分かれば納得ですよね。

ではそれぞれの対策ですが

では、まず歯の質に対するアプローチからお話します。
歯の質を変化させて、虫歯菌の酸で溶けにくい歯にするには歯を硬くすることが重要です。

ではどうしたら歯を硬くできるのでしょうか?

それはCMなどでも聞いたことがあるとは思いますがフッ素が重要なのです。
実際に歯磨きのCMでもフッ素配合って言ってますよね。

でも本当に効果のあるフッ素の使用方法を実践している人が少ないのが残念なのです。
ぜひフッ素の素晴らしい効果をまず知って下さい。

フッ素に期待する効果は、歯を硬くするということです。
ではフッ素によって、どのくらい効果があるのでしょうか?

例えば乳歯に歯科医院でフッ素を定期的(年3~4回)に塗るとします。
すると、フッ素を塗らない場合と比べて、なんと30~70%のむし歯予防効果があります。

フッ素は歯科医院で塗るだけでなく、
フッ素を含んだ液でうがいをする方法もあります。

フッ素のうがいは4歳からの開始がすすめられていて、
4歳や5歳からフッ素を始めた場合40~80%の高い予防効果が確認されています。

生え変わりの時期は大人の歯が虫歯になりやすい時期です。
だからこそ、生え変わりの時期の6歳から12歳まではフッ素が特に重要なのです。

では実際に効率的なフッ素の使用方法はどのようなやり方なのでしょうか?

それは、【高濃度フッ素】と【低濃度フッ素】の併用です。
高濃度フッ素は歯科医院で3カ月に一回、年4回塗布。
そして低濃度フッ素は毎日家庭で行います。

しかし、ここで重要なポイントがあります。
低濃度フッ素と書いていますが、活用方法により効果は違ってきます。

低濃度フッ素で効果が高いのはうがいをすることです。
より良い効果を望むなら、フッ素のうがいをすることです

むし歯を減らすためにフッ素のうがいを学校で集団的に行っているところが
年々増えているデータもあります。4歳から中学校の間にフッ素のうがいをした人は、
そうでない人と比べて虫歯の発生に大きな差があります。

ぜひ、まだやった事がなければフッ素のうがいをやってみてはどうですか。
フッ素のうがいはブクブクうがいができる4歳からが対象です。

年齢別に使用方法をお伝えします。

虫歯の原因の一つである砂糖ですが、
どれくらい虫歯と関係があるのでしょうか?

ビックリすることに野生動物にほとんど虫歯はありません。
人間も昔は同じでした。

ただ、ある物の普及を境に、虫歯が爆発的に増えていきました。
それが砂糖です。

だからと言って虫歯予防で「砂糖を食べないで!」
と伝えたいわけではありません。
上手な砂糖の摂り方を知っていただきたいのです。

まず砂糖を食べると、虫歯菌が糖を取り込み分解して酸を出します。
それにより歯の周りの酸性度が下がり、歯が溶けていくのです。
この状態からは唾液の力で徐々に元に戻っていきます。
時間にしたら食べ終わってから20分程度で酸性から元の中性に戻っていきます。

いくら唾液の力で元に戻るとはいえ、何度も砂糖をお口の中に入れる機会が多いと、
虫歯菌が酸をその度に出して歯が溶けていくことになるのです。

ここで1日3食だけの場合とおやつが多い場合での酸性度をグラフで表してみます。
グラフの線が下の方にあるほど酸が出ていて歯が溶けている状態です。

見ていただければ分かる通り、
おやつなど間食が多いほど歯が溶ける回数が増えてしまうのです。
つまり砂糖の量よりも、砂糖を口にする回数が問題なのです。

1回の食事で砂糖の量が多いよりも、
砂糖の量が少なくても食事の回数が多い方が虫歯になりやすいということです。

一日のおやつのトータル量が一緒でも、
小分けで与えると歯が溶ける回数が増えてしまいます。

だからジュースをちょっとずつ飲んだり、
飴などを何度も食べたりすると虫歯になりやすいのです。

歯にプラーク(歯垢)という虫歯菌などが増殖した汚れがついています。
それをしっかりとることで虫歯予防になります。

歯磨きは食べかすだけを取っているわけではなく、
歯に付着しているプラーク(歯垢)というばい菌も除去しているのです。

では歯磨きでばい菌を除去するといっても、どこから気を付けたら良いのでしょうか?
それは当然、虫歯になりやすい場所からです。

虫歯になりやすい場所は決まっています。
まずそこから対策することが重要です。

そこで年齢別の虫歯になりやすい部分と対策をお伝えします。

虫歯ができやすく、特に注意が必要なところとして「歯と歯の間」があります。
歯垢や食べカスは目に見える部分だけでなく、
歯ブラシが届かない歯と歯の間にたくさん溜まっていき、虫歯になってしまうのです。

実際のところ、歯ブラシだけで磨いた場合では約60%しか歯の汚れはとれません。

そこで活躍するのが、デンタルフロス(糸ようじ)です。
歯ブラシとフロスを併用することで除去率は90%まで上がります。

また、歯と歯の間の虫歯はなかなか気付きにくいところです。
お母さんが気付くとしたら、大きく穴が開いてしまってからが多いのです。
虫歯予防には、フロスは必須です。ぜひトライしてください。

5歳までは親がメイン。6~8歳までは親の仕上げ磨きが必要です。

そんなに大きくなってからも?と思うかもしれません。
小学校へあがる前に、仕上げ磨きをやめてしまう方が多いようですが、
この時期には、乳歯の他に大人の歯6歳臼歯が生えてきます。

生えたばかりの歯は、とても虫歯になりやすいため、
しっかりと仕上げ磨きをしてあげましょう。

いかがだったでしょうか?
今まで、知らなかった事もあるのではないかと思います。

すべてを、いきなり実践するのは難しいかもしれませんが、
1つでも2つでも何かトライしていただけると、
必ず今よりも虫歯の発生リスクは抑えられます。

生えたての永久歯は硬さがまだ軟らかく、虫歯になりやすいのです。
ですので、永久歯がどんどん生えてくる6歳~12歳は特に
継続的なフッ素やその他の予防が大切になってきます。

ぜひ、ただ虫歯にさせないという観点ではなく、
一生にわたる歯の寿命をのばすために
お子さんの虫歯予防に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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