歯科医院で安全に治療を受ける方法を全て公開

 

 

①消毒、殺菌、滅菌の違いとは?

消毒、殺菌、滅菌の違いをご存じでしょうか。
何となく聞いたことがあるような言葉だと思いますが、

明確に違いを知っている方は非常に少ないと思います。
どれもキレイになっているイメージがありますが、実はそれぞれ意味があります。

①-1 消毒

これは物や生体に付いている病気を起こす微生物を、死滅させたり害のない程度まで減らしたりする事です。感染する力を失わせて毒性を減らす事が目的です。
ただすべての菌やウィルスを無毒化している訳ではないです。
簡単に言えば、『ある程度は感染リスクを減らしているので大丈夫だよね。』って程度です。
例えば、アルコール消毒と言って、アルコールで手をキレイにしたりしますが、完全にリスクがゼロになってないのと同じです。

①-2 殺菌

殺菌は、病原性の微生物を死滅させる行為の事です。
名前がインパクトあるので、すごく良さそうに感じます。
ただここでも問題があります。それは全ての菌を殺してなくても殺菌と呼べると言う事です。
要は、30%の菌を殺しても、95%の菌を殺しても殺菌は殺菌です。
簡単に言えば、『一部の菌を殺しました。でもどれ位がまだ残っているかは不明です。』と言う状態です。
決して効果を保証している物ではありません。

極論言えば、0.1%の菌を殺して99.9%の菌が残っても殺菌です。
たとえば、パソコンの勉強を1分でもすれば、『勉強したことあります。』と一応言える様な状態です。効果と言うよりも、行為の事です。

①-3 滅菌

滅菌と言う言葉は日常生活では聞き慣れないかも知れません。
しかし医療では非常によく使う言葉です。
なぜなら、これが医療での一番重要な指標だからです。
では滅菌とは何かと言うと、限りなく無菌に近づける事です。
しかも、滅菌にはしっかり基準があります。
滅菌したあとに、微生物が10-6以下にすることです。
これは微生物がいる確率が 100万分の1以下になっていることです。

簡単に言えばほぼ微生物を全滅させている状態です。
要は唯一安全な状態を保証しているのが滅菌です。

①-4 つまり滅菌をしているかどうかが大切

つまりは、感染リスクを無くす為には、治療器具が滅菌されているかが大切です。
消毒でもなく、殺菌でもなく、滅菌している事が大切です。

 

 

②滅菌してないとどんな危険な可能性があるのか?

では、滅菌してないとどんな危険があるのかをお伝えします。
特に血液感染の可能性が高いウィルスは以下の3つです。

  • B型肝炎ウィルス(HBV)
  • C型肝炎ウィルス(HCV)
  • エイズウィルス(HIV)

これらは主に血液や体液で感染します。
肝炎ウィルスは肝臓に感染し、炎症を引き起こします。
感染した際は、急激な肝臓の炎症を起こして死亡することもあります。
ただ慢性的に炎症がおこり、最終的に肝硬変や肝がんに移行することがほとんどです。
エイズのウィルスであるHIVは、体の中に入ると免疫機能の役割をしているリンパ球(白血球の一種)をどんどん壊していきます。

当然、免疫力が低下していって、通常はかからないような感染症や悪性腫瘍になったりします。
どの病気も、一時的な感染症ですぐに治る病気ではないです。

 

 

③どこから感染するのか?

では、実際にどこから感染するのでしょうか。
もちろん可能性はいろいろありますが、注意が必要なのは以下の6つです。

  1. 歯を削る切削ドリルからの感染
  2. 歯を削る機械からの感染
  3. 歯石をとる器具のチップからの感染
  4. ピンセット、ミラー、外科器具から感染
  5. 手袋から感染

1つずつ説明していきます。

 

機材

①歯を削る切削ドリルからの感染

歯を削る際に、切削のドリルをつけます。
歯を削る時に歯の中の神経を取っていくこともあります。
当然、神経だけでなく血液も流れているのでドリルが感染します。
また歯ぐきの付近を削る際に少量の出血することがあり、それでも感染します。

ドリル

②歯を削る機械からの感染

歯を削る際にキーンとする機械で削りますが、これをタービンと言います。
圧縮された空気を送り込んで回す機械なのですが、内部では40〜50万/分の回転数で回ってます。
それだけの早さで回っているので、周囲の気圧変化が起こります。
問題はタービンを止めたときです。
タービンを止めると、周囲の空気や水などを逆に吸い込みます。
当然そこに血液があればそれも吸い込むと言う事です。
そしてまた回転し始めた時に、吸い込んだ物をはき出します。
要は前の患者さんの血液が出ている可能性があるって事です。

最近は逆流弁防止装置という機能もあり、以前よりも吸い込みが減りましたが当然ゼロではないので危険なのです。

タービン

③歯石をとる器具のチップからの感染

歯石を取ってもらった事ってあるでしょうか?
その先に水が出る機械で掃除をしてもらったと思います。
実はこの歯石を取っている際も、ほとんどの確率で出血しています。
その為に歯石をとる機械の先端は必ず感染しています。

スケーラーチップ

④ピンセット、ミラー、外科器具から感染

歯科で治療を受けると、ミラーやピンセットなどの基本的な道具が用意されていると思います。これらの器具で歯ぐきを触ったりしますので感染の可能性があります。
また抜歯をするなどの外科的な治療の際は100%出血するので特に器具の取り扱いが重要となってきます。

ピンセット

ミラー

⑤手袋から感染

歯科治療の際に手袋をします。
治療をしたあとに、手袋で手洗いしても血液で汚染されている可能性はゼロにはなりません。もちろんこれは飲食店でも同じです。
飲食店の箸やコップも洗っているだけで次の人が使っているのでそれと同じ状況です。
ただ歯科治療は血液感染している頻度が高いので、リスクは大きくなります。
ですので患者さん毎にグローブを変えて行くのは大切です。

 

 

 

④では、感染しない為の歯科医院の対策とは何か?

歯科の感染対策が、ネットやニュースなどが時々取りざたされますが
どんな対策があるのでしょうか?
それをしっかり知るのが非常に重要です。

基本的な対策は以下の2つです。

①器具を滅菌する

感染する様な器具は滅菌してあるかどうかが重要です。
消毒でも殺菌でもなく滅菌でないとダメです。
先ほどお伝えした以下の道具をしっかり滅菌してあるかが大切です。

  • 歯を削る切削ドリル
  • 歯を削る機械(タービン)
  • 歯石をとる器具
  • ピンセットやミラー
  • 外科器具

これらがしっかり毎回滅菌されているかどうかです。

 

②使い捨てにする

滅菌が出来ない物は、使い捨てになっているかが大切です。

例えば内科で昔は金属のへらでベロを押さえて喉の診査をしていました。
ただ最近は使い捨ての木のへらで診査してます。
当然患者さん毎に使い捨てにしています。

同じように歯科治療でも使い捨ての物が多くなっています。
ただその中でも絶対に必要なのは手袋(グローブ)です。
ここは使い捨てになっているかが重要です

使い捨ての手袋

使い捨てのマスク

⑤歯科医院でのチェックするポイント

いろいろ感染の問題と、感染ルートについてお話してきました。
ただ実際に患者さんが感染の対策するのは不可能です。

やれることは唯一歯科医院選びです。

では感染対策がしっかりしている歯科医院の選び方をお伝えします。

① 歯を削るドリルやタービンが、毎回個別の袋に入っているか。

滅菌をする際に、個別の袋にいれて滅菌するケースが多いので袋に入っている場合は
滅菌をしている可能性が高いです。

※個別の袋に入れてないけど、滅菌しているケースもあります。
ですので袋に入ってないから、一概に滅菌してない訳ではありません。

 

② 最初に先生が来るときに手袋を付けたままか、その場で付けているかを見る。

患者さん毎に手袋を変えるケースは、直前につける事がほとんどなので
ゴム手袋をつけるパチパチとした音がします。

※患者さんの見えない所でグローブを付けて、さらに消毒をして治療される先生もいます。
ですので一概に手袋をその場で付けてないから使い回しとは言い切れません。

 

③ 受付や先生に聞いてみる。

①も②も大体は分かりますが、実際にそうでなくてもしっかり感染対策されている先生もたくさんいらっしゃいます。
もし不安であれば、先生や受付に質問してはどうでしょうか?

例えばこんな感じで、
『先日、インターネットのニュースでグローブや削る機械の使い回しがあるって聞いたのですが、○○歯科医院は大丈夫ですよね?』

しっかり感染対策している病院であれば、笑顔で
『安心して下さい。当院ではしっかり患者さん毎に滅菌してますので大丈夫ですよ。』
と言ってくれると思います。

 

④ ホームページや院内で、感染対策の告知している。

当然歯科医院も、グローブやタービンの使いまわしが話題になっていることを知っています。そのため来院されている患者さんにしっかり告知しているケーズもあります。

 

⑤ 今歯科医院を探されているケースは、電話でまず聞いてみる。

これから通院する歯科医院を探しているケースはまずは電話で滅菌対策しているかを聞いてはどうでしょうか?
グローブの交換と、タービンやドリルの滅菌を患者さんごとにしているかどうかの有無だけでも聞くと良いと思います。

 

⑥ 歯科外来診療環境体制加算(外来環)の歯科医院か?

歯科治療での点数で、歯科外来診療環境体制加算(外来環)と言うものがあります。この認定歯科医院であれば、何もないよりもしっかり対策している可能性があります。
簡単に言えば、感染対策や緊急事態へのしっかりとした設備があるかどうかの指標になります。

 

⑦ 歯の寿命をのばす会で滅菌認定している歯科医院

一般社団法人 歯の寿命をのばす会では、
以下の5つの項目を満たしている歯科医院に認定を行ってます。

  • タービンを患者さん毎に滅菌している。
  • 歯を削るドリルを患者さん毎に滅菌している。
  • 歯石を取る機械のチップを患者さん毎に滅菌している。
  • グローブを患者さん毎に滅菌している。
  • 基本セットや外科器具を患者さん毎に滅菌している。

 

滅菌の基準は突き詰めると非常に難しい問題です。
ただ上記の5つがしっかりしていれば安心の基準をクリアしています。

いろいろ歯科の感染についてお伝えしましたが、
ぜひ少しでも参考に出来る部分があれば活用していただけら幸いです。